なぜ「通信距離◯m」で選ぶと外すのか
無線機を探しはじめると、まずカタログの通信距離を見比べることになります。ところが、その数字だけで選んだ現場ほど「思っていたのと違う」が起きます。理由は単純で、電波が届くかどうかは距離ではなく、遮るものがあるかどうかで決まるからです。
C-VER が扱う機種の目安は、見晴らしが良い状況下で平地100〜500m、高低差100〜200mです。この数字は「何も遮るものがなければ」という前提つきの目安で、コンクリートのスラブ・鉄板・大型機械の陰に入ると、はるかに手前で届かなくなります。逆に、見通しさえ確保できていれば、想像より遠くまで届きます。
「何m飛ぶ機種か」から入るのではなく、「この現場で、誰と誰が見通せるか」から入ります。見通せない区間が見つかったら、そこをどう埋めるか(サブマスターを置くか、ケーブルで繋ぐか)を決める。機種と台数は、その後で自動的に決まります。
以下は、その順番で現場を整理するための7つの判断軸です。すべて埋める必要はありません。埋まらないところが、そのまま相談すべき論点になります。
判断軸① 同時通話か、順番待ちか
いちばん大きな分かれ道です。従来のトランシーバーは、ボタンを押している人だけが話せて、他の人は待ちます。同時通話の機種は、電話のように複数人が同時に話せます。
この差は、平常時よりも危ないときに効きます。クレーンの旋回半径の下、視界の悪い坑内、フォークリフトの通路。「危ない」の一言が、誰かの送信が終わるのを待つことなく全員に届くかどうかで、結果が変わります。段取りの速さも同じ理屈で、確認の往復と聞き返しが消えます。
- 順番待ちで足りる場面 — 連絡の頻度が低く、話す人がほぼ決まっている。近距離・少人数。
- 同時通話が要る場面 — 複数人が並行して動く。危険作業がある。指示と応答が往復する。
判断軸② マスターをどこに置けるか
ここが構成の要です。BRIDGECOM は子機どうしが直接つながるのではなく、すべての通話がマスターを経由します。つまり、マスターから見通せない子機は、たとえ他の子機のすぐ隣にいてもつながりません。
| 役割 | 設定 | 置く場所の考え方 |
|---|---|---|
| マスター | 親機設定端末 | 全員を見通せる位置。コンクリートや鉄板に遮られると、その先の子機とはつながらない |
| サブマスター | 中継設定端末 | マスターから見通せない区間に置いて電波をリレーする。階をまたぐ・機械や棚の陰に入る場合 |
| 子機 | 子機設定端末 | 作業員が携帯する |
無線がまったく届かない距離のグループ同士は、マスター本体を中継接続ケーブルで繋いで通話します。100mのケーブルを連結すれば数kmまで延ばせます。
なお、すべての機種がこの考え方ではありません。ReaCom ALVO は中継ベースと中継ケーブル(1m/3m)で同時通話できる人数とエリアを広げます。見学・視察で使う BRIDGECOM LT はさらに別系統で、ガイドの送信機Mと見学者の受信機Sだけの構成、サブマスターは使わず受信機の台数に制限はありません。
また、BRIDGECOM X10/X10コンパクト/X10アスリート/X5 は、本体を専用ケーブルでスマートフォンと繋ぐと、電話回線やインターネット回線が使える場所であれば、無線では届かない離れたグループとも同時通話できます。オンライン会議と現場を直結することもできます。
判断軸③ 騒音レベルと、装備
騒音下では「届くこと」と「聞き取れること」は別の問題です。ノイズキャンセルの弱い機種を騒音下で使うと、聞き取るために音量を上げ続けることになり、耳の痛みや騒音性難聴の原因になります。音量を上げなくても届く設計かどうかを見てください。C-VER では ENC(ノイズキャンセル)搭載機と、高遮音イヤホン AURO(日本製・5層密閉)の組み合わせを中心にご提案しています。
騒音と同じくらい見落とされるのが装備です。ヘルメット、防塵マスク、保護メガネ、厚手の手袋。これらを着けたまま操作でき、着けたまま声を拾えるマイク形状かどうかで、現場での使い勝手が決まります。ヘルメット取付型の防水マイク、アームバンド、骨伝導や咽喉マイクなど、本体より先にマイクとイヤホンの相性を確かめたほうが失敗しません。
同じ業種・同じ広さでも、装備・呼吸のしやすさ・使う方の好みで最適な機種は変わります。装備してはじめて「思っていたのと違う」に気づくことが多いのが、この判断軸です。最終的な決定は、実機のデモ・レンタルで体感してから行うことを強くおすすめします。
判断軸④ 何人が「話す」のか、何人は「聞く」だけか
全員に同じ機種を持たせる必要はありません。指示を出す人・応答する人・聞いていればいい人を分けると、構成も費用も現実的になります。
- 常時話す人 — 同時通話の主力機。マスターとの見通しを最優先で配置します。
- 聞くことが中心の人 — BRIDGECOM R2(税抜 ¥12,500〜/台)。ただし別途、送信機(特定小電力トランシーバー・購入時4CH指定/422MHz帯)が必要です。
- 案内する人と、聞く人が固定の場面 — BRIDGECOM LT。受信側もボタンを押している間だけ双方向で質問でき、そのやり取りは他の受信機にもそのまま聞こえます。工場見学・現場視察向けです。
「同時に話す人数」と「その場にいる人数」を分けて数えておくと、見積の精度が一段上がります。
判断軸⑤ 水・粉塵・落下
屋外、洗浄工程、港湾・船上、雨天のイベント。水がかかる可能性があるなら、防水性能は妥協しないほうが安全です。落下も同様で、高所やヤードでは堅牢性が寿命を決めます。
C-VER の代表機でいえば、BRIDGECOM X10 は堅牢・高出力の主力機(税抜 ¥119,000〜/台)、X10アスリートは防水・軽量で動き回る現場向け(税抜 ¥56,000〜/台)という位置づけです。港湾・船上のように防水と広さを同時に満たす必要がある場合は、防水ケースの併用も含めて構成します。
判断軸⑥ 免許・登録と、ランニングコスト
本体価格だけで比べると、後から効いてくる費用を見落とします。回線契約が要るもの、登録・免許の維持費が要るものがあります。
| 比較軸 | 特定小電力トランシーバー | IP無線・スマホアプリ | 業務用無線(登録局・免許局) | C-VER取扱機 |
|---|---|---|---|---|
| 免許・登録 | 不要 | 不要(回線契約) | 登録・免許が必要な場合が多い | 機種により異なる(要個別確認) |
| 到達距離の目安 | 数十m〜。遮蔽物に弱い | キャリア電波が届く範囲は全国 | 数km〜。出力次第で広い | 平地100〜500m・高低差100〜200m(見晴らしが良い状況下) |
| 騒音下の聞き取り | 機種依存。安価機は弱いことが多い | 機種依存 | 機種依存 | ENC・高遮音イヤホン対応機を中心にご提案 |
| ランニングコスト | 基本は本体のみ | 回線費用が台数分かかる | 登録・免許の維持費がかかる場合がある | 基本は本体のみ(機種による) |
| 向いている場面 | 近距離・少人数の簡易利用 | 広域・拠点間・全国連携 | 広域・高出力が必要な現場 | 現場の騒音・安全・多人数同時通話を重視する場面 |
※ 一般的な傾向の目安であり、実際の性能は機種・設置環境・電波状況により異なります。免許・登録の要否は個別の機種でご確認ください。
判断軸⑦ 買うか、借りるか
使う期間が決まっているなら、迷わずレンタルです。イベント・繁忙期・工期限定の現場は、買うより借りたほうが合理的です。
常用する予定でも、いきなり全台を買わないほうが安全です。判断軸③で書いたとおり、装備との相性は装着してみないと分かりません。まず少数をレンタルして現場で試し、納得してから購入に進む流れをおすすめしています。
- レンタル期間は3〜30日。お申し込み日から最短6日後より貸出可能です。
- 送料は、ご購入は税抜20,000円以上、レンタルは税抜50,000円以上のご注文で無料です。
- 料金表に無い期間・構成(BRIDGECOM LT、ALVO の11台以上、大人数構成など)は個別見積りで対応します。
現場で埋めるチェックリスト
ここまでの7つの判断軸を、そのまま現場で確認できる形に落としたものです。これは C-VER のデモ機・レンタル申込フォームで実際にお伺いしている10項目と同じ内容なので、埋めてから相談いただくと、初回のやり取りだけで構成のご提案まで進みます。
現場ヒアリング10項目
分からない項目は空欄のままで構いません。空欄そのものが、確認すべき論点になります。
- 用途・シーン建設・土木/トンネル・地下/製造・工場/物流・倉庫/港湾・船上/イベント・スポーツ/医療・介護/見学・視察
- 同時に話す人数その場にいる人数ではなく、同時に発話する人数を数えます
- 通話距離〜100m/数百m/〜数km/全国(IP無線)
- 通話場所ワンフロア/別フロア/別建物/地下と地上/別エリア/障害物なし
- 利用環境屋内/屋外/屋内外の両方
- 通話方法全員一斉/グループ分け/1対1/常に同時通話/聞くだけの人が混在
- 現在使用している機器無し/特定小電力/IP無線・スマホアプリ/業務用無線
- ご希望機種決まっていなければ「提案希望」で構いません
- 利用開始時期今すぐ/1週間以内/1ヶ月以内/未定
- 希望するデモ・レンタル期間3日間/1週間/2週間/相談したい