補助金・助成金は年度ごとに要件・金額・受付期間が変わります。以下は令和8年度時点の公開情報に基づく整理です。 実際の対象可否・金額・手順は、必ず各制度の最新の公募要領および所管窓口でご確認ください。採択・支給を保証するものではありません。
原則は、たったひとつ
補助金を使った設備導入で最も多い失敗は、要件を満たさなかったことではありません。手順の順番を間違えたことです。
この順序が原則です。良い機器を見つけて、先に発注してしまってから申請しようとすると、その経費は対象にならないことがあります。「買ってから申請」ではなく「申請してから買う」。この一行だけでも覚えて帰っていただければ、いちばん重い失敗は避けられます。
厄介なのは、この順序が直感に反することです。ふつうの購買では、決裁が下りてから見積を取り、発注します。補助金の場合は、発注のはるか手前で見積書が必要になり、その見積書を添えて申請し、決定を待ってから発注する。この時間差を知らないまま進めると、たいてい間に合わなくなります。
業務改善助成金は「賃上げの順番」がもう一段ある
事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上に資する設備投資を行う中小企業・小規模事業者向けの制度です。令和8年度は賃上げ額に応じた3コースに再編されています。
| コース | 賃上げ額 | 助成率 | 上限額の目安 |
|---|---|---|---|
| 50円コース | +50円以上 | 3/4〜4/5 | 最大130万円 |
| 70円コース | +70円以上 | 3/4〜4/5 | 最大300万円 |
| 90円コース | +90円以上 | 3/4〜4/5 | 最大600万円(対象人数10人以上等の要件あり) |
助成率の目安は、事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4です。
この制度で注意すべきなのは、発注の順番に加えて賃上げの順番があることです。
- 賃金引上げ計画・業務改善計画の作成
- 交付申請
- 賃上げの実施
- 交付決定
- 設備導入(発注・納品・支払い)
- 実績報告・助成金受給
すでに賃上げを済ませてから申請する「事後申請」は、令和8年度は認められません。「先に賃金を上げておいて、あとで申請しよう」は通らないということです。順序を誤ると取り返しがつかないため、賃上げの実施を決める前にご相談ください。
受付は令和8年9月1日から、締切は地域別最低賃金の発効日の前日、または令和8年11月30日のいずれか早い日です。地域によって実質的な締切が違う点に注意してください。
さらに、令和8年度の申請では事業完了期限が交付決定の属する年度の1月31日とされており、納品・支払完了・賃金引上げをいずれもその日までに済ませる必要があります(やむを得ない理由がある場合は3月31日までの延長が可能とされています)。締切は申請だけでなく、納品側にもあるということです。
エイジフレンドリー補助金は「締切が二重」
60歳以上の高年齢労働者が安全に働ける職場環境の整備にかかる費用を補助する制度です。令和8年度は3コース体制で、「熱中症対策コース」が新設・独立しています。
| コース | 対象 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 専門家総合対策コース | 高年齢労働者の労働災害防止・リスクアセスメント | 1/2〜4/5 | 100万円 |
| 熱中症対策コース(新設) | 暑熱環境での身体機能低下を補う装置導入 | 1/2〜4/5 | 100万円 |
| コラボヘルスコース | 健康保持増進の取組 | 1/2〜4/5 | 30万円 |
対象は中小企業事業者で、1年以上事業を実施していること、労災保険適用の労働者を常時1名以上雇用していることが要件です。申請は郵送またはJグランツ(電子申請)で行います。
この制度で見落としやすいのが、締切が二重になっている点です。
- 補助金の申請受付:令和8年5月20日〜10月31日(当日消印有効)
- 専門家総合対策コースの第1段階(労働安全衛生の専門家を活用したリスクアセスメントの実施申請):令和8年5月20日〜8月31日
専門家総合対策コースを狙う場合、全体の締切である10月末を見て動くと、8月末の第1段階を過ぎてしまいます。実質的な締切は2か月早いと考えて逆算してください。
逆算でスケジュールを引く
ここまでの制約をまとめると、動き出すべき時期が見えてきます。通信機の導入で言えば、「どの機種を何台」が固まっていない状態から見積書までに、現場の確認とデモ・レンタルの期間が要ることを勘定に入れる必要があります。
逆算の順番
後ろから決めていくと、いつ相談すべきかが分かります。
- 事業完了期限を確認する納品・支払い・(業務改善助成金なら)賃上げまでを、この日までに終える必要があります
- 交付決定から納品までの期間を見込む発注できるのは交付決定の後です。在庫状況によって納期は変わります
- 交付申請の締切を確認する制度ごとに違い、地域別最低賃金の発効日に連動するものもあります
- 見積書の作成に必要な期間を戻す機種・台数・構成が確定していないと、見積書は作れません
- 現場確認とデモ・レンタルの期間を戻すC-VER のレンタルは3〜30日、お申し込みから最短6日後より貸出可能です
- ここが、相談を始めるべき時期です「制度があるらしい」と聞いた時点でお声がけいただくのがいちばん安全です
とくに5番目を飛ばして機種を決めてしまうと、装備との相性が合わずに買い直しになることがあります。補助金の対象経費は交付決定後に発注したものなので、買い直しの分は補助されません。選び方の判断軸を先に押さえておくと、この手戻りを減らせます。
C-VERがすること・しないこと
| 内容 | |
|---|---|
| すること | 貴社の状況(規模・現在の事業場内最低賃金・現場環境)を伺い、対象になり得るかを精査すること。現場条件に合った機種・構成の提案。申請に必要な見積書・仕様書類の用意。 |
| しないこと | 申請書類の作成・提出の代行(社会保険労務士等の専門家業務のため)。「たぶん使えます」という曖昧な案内。採択・支給の保証。 |
対象になり得るかの見当をつけるだけなら、補助金ページのかんたん診断ツールがその場で使えます。入力内容はどこにも送信されず、すべて画面内で完結します。
よくある質問
先に機器を買ってしまいました。もう対象外ですか?
業務改善助成金で、賃上げはいつ実施すればいいですか?
見積書はいつもらえばいいですか?
申請の代行はしてもらえますか?
補助金が下りなかったら、導入はできませんか?
出典
出典
- 厚生労働省「エイジフレンドリー補助金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html
- 厚生労働省「業務改善助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
- 厚生労働省「労働条件等関係助成金のご案内」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/index_00051.html